令和8年度税制改正大綱が公表
2025年末に公表された令和8年度税制改正大綱では、「物価高への対応」「強い経済の実現と成長投資の促進」「税制の公平性・適正化の確保」などを軸に、幅広い見直しが示されました。
本記事では、特に実務に影響の大きいポイントを中心に、わかりやすく整理してお届けします。
1.個人所得課税
①物価上昇局面における対応
物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設と「三党合意」を踏まえた更なる対応により、基礎控除額と給与所得控除が見直されます。
② 資産形成の促進に向けた取組みの拡充
次世代の資産形成を支援する観点から、NISA(少額投資非課税制度)のつみたて投資枠の対象年齢が0歳まで拡充されます。
特定暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等をいいます)の譲渡等に係る取引が総合課税から分離課税とされ、損失について3年間の繰越控除制度が創設されます。
③ 住宅ローン控除の方向性整理
住宅取得支援については、
省エネ性能の向上への重点化を進めつつ、適用期限を5年間延長した上で、中古住宅や小型住宅を対象に控除を拡充するなど、子育て・若年夫婦世帯への支援が強化されます。
2.資産課税
① 特例事業承継税制 特例承継計画等の提出期限の延長
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例措置について、特例承継計画の提出期限が1年6か月延長され、令和9年9月末までとなります。
個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、個人事業承継計画の提出期限が2年6か月延長され、R10年9月末までとなります。
② 貸付用不動産等の評価方法の見直し
被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得又は新築をした一定の貸付用不動産は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価されます。
不動産特定共同事業契約又は信託受益権に係る金融商品取引契約のうち一定のものに基づく権利の目的となっている貸付用不動産は、取得時期にかかわらず、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価されます。
3.法人課税
① 大胆な投資促進税制の創設
危機管理投資・成長投資による「強い経済」を実現するため、国内における高付加価値化型の設備投資を促進する観点から、全業種を対象とした大胆な設備投資の促進に向けた税制が創設されます。
② 賃上げ促進税制の見直し
賃上げや人材投資に積極的な企業を評価する観点から、要件や適用方法の見直しが行われる予定です。
・大企業向け:R8年3月31日をもって廃止されます。
・中堅企業向け:R8年4月1日からR9年3月31日までに開始される事業年度について給与等の増加割合の引き上げ、税額控除率の上乗せに ついて見直しが行われます。
・中堅企業向け・中小企業向け:教育訓練費の上乗せ措置が廃止されます。
4.消費課税
① 適格請求書等保存方式に係る経過措置の見直し
・インボイス制度の定着を図るため、新たにインボイス発行事業者となった小規模事業者のいわゆる2割特例については、個人事業者(今まで2割特例の対象となっている者を含む)に限りその納税額を売上税額の3割とする新たな経過措置が講じられます。
・免税事業者等からの課税仕入れについて、R8年10月からR10年9月は控除可能割合を7割、R10年10月からR12年9月までは5割、R12年10月からR13年9月は3割として課税仕入れにかかる税額控除が計算されます(R13年10月以降は終了)。
本記事でご紹介した内容は、令和8年度税制改正大綱において示された改正の方向性を整理したものです。
現時点では、これらは国会で成立した法律ではなく、今後の審議を経て具体的な制度内容や適用時期が確定する点にはご留意ください。
■参考
財務省「令和8年度税制改正の大綱」
令和8年度税制改正の大綱(目次) : 財務省