2025年3月31日税制改正法成立

2025年3月に成立した令和7年度税制改正法は、「子育て支援」「働き方の多様化への対応」「中小企業支援」「防衛力強化のための財源確保」などを柱とし、多岐にわたる見直しがなされました。
今回は、特に実務に影響の大きい改正ポイントをわかりやすく整理してお届けします。
1.個人所得課税の主な改正点
- 基礎控除・給与所得控除の引上げ
所得税における基礎控除が10万円引き上げられ58万円に、給与所得控除の最低保障額も65万円に引き上げられました。 -
新たな扶養控除制度(特定親族特別控除)
19歳以上23歳未満の子を扶養する場合、63万円の控除が創設されます。 -
住宅ローン控除の見直し
子育て世帯・若年夫婦世帯については借入限度額が上乗せされ、床面積要件も緩和されました。 -
新生命保険料控除の拡充
扶養親族(23歳未満)を有する場合、控除額が最大6万円に増額されます。
2. 資産課税の見直し
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事業承継税制の見直し
贈与時の役員就任要件が緩和され、承継計画の柔軟性が高まります。 -
結婚・子育て資金贈与の非課税特例の延長
適用期限が延長され、引き続き活用が可能に。 -
相続税の物納制度の見直し
納税者負担軽減を目的とした物納許可限度額の見直しが行われました。
3. 法人課税の見直し
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中小企業投資促進税制・経営強化税制の延長・拡充
中小企業の成長を後押しするため、建物等の設備投資にも対象が拡大され、特別償却または税額控除の適用が拡充されます。 -
中小企業の軽減税率(15%)の適用延長
年800万円以下の所得に対する軽減税率の適用が継続されます。 -
防衛特別法人税(仮称)の創設
防衛力強化のための財源確保を目的とした新たな法人税が創設されます。
4. 国際課税・消費課税
- 外国人旅行者向け免税制度の見直し
一部制度要件が厳格化され、制度の適正運用が図られます。 - グローバル・ミニマム課税(GloBEルール)への国内対応
国際的課税ルールに基づいた制度設計が国内法に取り入れられました。
今回の税制改正は、企業の成長支援、国際的な課題対応まで幅広く影響を及ぼします。
特に、扶養控除や住宅ローン控除、設備投資税制の変更点は、日々の実務に関わる部分でもありますので、今後の申告・計画においてご注意ください。
当法人では、今回の改正を踏まえた対策やご相談にも対応しております。
お気軽にお問い合わせください。
■参考
財務省「令和7年度(2025年度)税制改正の大綱」
令和7年度税制改正の大綱の概要 : 財務省